ドイツフットサル1部の給料事情とそこから見えた現状〜今ドイツに来ることは正しいのか〜
JUOです。
最近ドイツのフットサルに興味があるという方々からお問い合わせをよく頂きます。それもプロとして将来フットサルで生活をしていきたいという方々から。その中でもよく聞かれることが、給料等の待遇面。ですので今回は現時点でドイツのトップリーグであるレギオナルリーガ中位のクラブにおいて、どの程度のサポートを受けることが出来るのかについて書こうと思います。そしてそこから見えてきたリアルの部分も今回はあえて書こうと思います。以前自分の記事においてブンデスリーガが創設されるという事で多少夢のあることを書きましたが、若干逆方向の事の内容かもしれません。「言ってること違うじゃん」となるかもしれませんが。「プロを目指す上で、『今』ドイツに来るという選択肢はどうなのかという視点」で書いています。その点を考慮して読んでいただけると有り難いです。
その記事
その前に
以前記事でも書いたことがあるのですが、ドイツにはまだ全国リーグ(ブンデスリーガ)が存在しません。地域リーグ(レギオナルリーガ)が1部相当となり、ドイツを5地域に分け各10チームが所属します。ですので1部所属は計50チーム。1部といってもチームによってばらつきがあることは間違いなく、僕の情報が必ずしも他1部のチーム事情に該当するとは限りません。(大差はないと思いますが)
まああくまで参考程度に聞いていただけると有り難いです。ちなみに僕の所属するクラブは現行の1部リーグ創設以降、常に中位に位置しているチームですのでレベル・規模は限りなく平均レベルだと思います。
いくら貰える?
それでは具体的な金額を公開します。あくまで僕の契約内容になります。
・基本給 0€
・出場給 30€
・勝利給 20€(出場給に加算)
・成績に応じて +α ←まだ貰ったことない
というような感じであります。※1€=¥120程
基本的には出場して初めて給料が発生するのですが、僕の場合は何故かベンチ入りで給料が入ることになっています。
成績に応じてプレミアが入ると聞いたのですが、キーパーの場合それが何に適応されるのか今のところ謎なので、今度確認しておきます。ただ大きい金額ではないと思います。あと僕は滞在許可証(学生ビザ)の規定で月450€より稼げないことになっていますので、それは超えないようになっています。
ですのでMAX250€+α ≦450€です。
正直少ないと思った方もいるかもしれませんがこれが現状です。そしておそらくこの点は他クラブとそれほど違いはないと思います。先程も言いましたが、リーグにプロクラブもなければ、プロ選手もほぼいません。みんな他に仕事を持ち、その「傍ら」というか「ついでに」フットサルをプレーしています(若干の代表クラスの選手はしっかりやってる印象)。チームメートに元代表選手がいますが、彼も大学院まで行き、今は就職活動をしています。1部でプレーしている多くの選手の温度感もそんな感じなのです。
ただ働きながらプレーしている人や学生の自分からすれば、奨学金や仕事の給料で生活する中で好きなことをしてお小遣いが貰えるというのはとても有難いことで、貰えるだけで万々歳です。
僕のチームの給料事情はこんな状況です。ばらつきがあると先ほど書きましたが、現状のドイツフットサル界を見てこれだけは断言できるのは、「フットサルの給料だけで飯を食うのは無理」ということです。
給料以外の待遇
お金以外の待遇に関しては
・移動着 支給
・練習着 貸与
・ユニフォーム 貸与
・アウェイ移動 クラブのバス
というような感じです。自己負担は0です。日本のクラブよりはお金が掛からずスポーツができるのはかなりいいことだと思います。ただこれはドイツに関わらず、というかフットサルに関わらず、欧州の多くの国、多くの競技でもアマチュアのクラブはこのような待遇を受けることが出来ると思うので、こちらでは特別に良い条件ではないと思います。
日本のアマチュアではユニフォーム、練習着は買わされるから個人負担大きくなりますけど、あれをクラブからの貸与という形で負担を無くせば、競技人口もっと増えるのになあとよく思っています。
サッカーと比較
それではドイツのサッカーと比較してみたいと思います。
ちょうど昨日偶然のご縁でサッカーチームに誘って貰ったのですが、その際にざっくりと聞いた条件は、、
・Kreisoberliga(確か8部)所属
・毎週出場→300€
で、
僕が4年前に所属していたWaldhof MannheimのBチーム(7部)は、僕の場合は(具体的にはかなり忘れた)、
・出場給 60€程
・勝利給 忘れたけど結構あった
・成績に応じて+α
これに所属歴や年数によって貰える額がプラスされていき、600€以上貰っているチームメートも余裕でいました。
このクラブはトップチームの多くがプロ選手でその兼ね合いもあってセカンドチームにも色んな契約内容があった特殊なクラブですが、僕の底辺契約でもこんな感じでした。
金銭以外の面に関しても上記程度の待遇はサッカーなら基本的には有ります。
正直8部リーグは余程のことがなれば誰でも入団可能ですし他にも同じレベルでもっと貰えるクラブは有ります。
ちなみに同じレギオナルリーガ(地域リーグ)はサッカーでは4部に相当しますが、サッカーの4部であれば、基本的に生活可能な給料は貰えます。(若干の収入差はある)
比べてもどうしようもないのですが、要するに僕がここで言いたいのは
「ドイツに来てサッカーで生活したい!」→簡単な話ではないがまあ納得できる
「ドイツに来てフットサルで生活したい!」→現状は厳しいかな
って事です。サッカーなら生活するという目標は叶えられますが、フットサルにおいてはてっぺんに来ても現状それだけで生活は成り立ちません。
ブンデスリーガが出来たら変わるのでは???
「でもブンデスリーガが出来たら変わるんじゃないの?」多分皆さんそう思っているでしょう。ブンデスリーガに関しては以前記事に書きました。夢のありそうな書き方をしましたが、具体的にどのように環境改善が行われるかに関しては
「正直分からない」
としか言えないのが現状です。DFBから具体的にどのような条件でプロ化をするかなんてまだ発表されていませんから。(見てないだけかもしれないので見たら即記事にします)
つまり現段階では不確定要素が多すぎるが故に、僕としても適当なことは言えないということで、現状「プロになりたいからフットサルで渡独したい」という人には「難しくないですか」というスタンスをとる事にしてるのです。
あと勘違いしてはいけないのが
プロリーグができる=そこでプレーすれば必ず飯が食える
というわけではありません。これも予測でしかありませんがある程度自信を持って言えます。
というのも似た様な事例として、ビーチサッカーが挙げられます。ビーチサッカーは数年前にブンデスリーガができました。ですが金銭面で劇的に待遇改善がされたクラブはほとんどありませんでした。僕の所属クラブはビーチサッカーチームも持っていて代表選手が4人いる強豪ですが、今でも給料は無しです。ブンデスリーガが出来たとはいえ、マイナースポーツにおいてこのような事例は起き得るのです。そしてドイツフットサル界にて感じるのはドイツにおいてフットサルはまだまだマイナーということです。だからこそ、現段階では、分かるまで慎重に情報を待つべきだと言いたいのです。
まとめ
まとめると、、
ドイツのフットサルは
「飯が食えるほど貰える環境にない!今後も未定!!」
という事になります。
現状を考えるとプロになるためには難しい環境です。
中にはお金が貰えればそれでプロという認識もあり、それで満足できるのであれば今来るのもいいかもしれません。
ただ僕の個人的な見解ではその事が収入の主として、生活が成り立って初めてプロと呼べると思っています。
でないと、とりわけサッカーやフットサルの海外挑戦においては、お小遣い程度のお金を貰っただけで満足し、勘違いすることによって中途半端な結果に繋がりかねないと僕自身考えているからです。その意味を分かった上でプロになるために本当に必要な選択肢が「『今』何もない段階のドイツに来る事なのか」は考えた方がいいのかなと思います。
決して「来るな」と言っているのではありません。「数年内にプロチームがボコボコできる!」と信じて今来て、文化や生活に慣れ、語学力を上げておくというという判断もありだと思います。ただそれは何もわからない今では同時に大きすぎるリスクを背負う事にもなるということが言いたいのです。
各々考えはあると思うし、僕の考えが正しいなんてことは無いですが、実際ドイツフットサルに身を置き、様々な方からご相談を受けいく中で感じるものがあったので思い切って書いてみました。
今後プロを目指しに渡独を考えている人がいたら是非参考にしてみてください。
ではまた
JUO