JUOのブログ

ドイツのフットサルやサッカー情報、視覚障害者スポーツロービジョンフットサル日本代表としての活動など、自分が普段関わるスポーツに関して書きます。留学情報や趣味のアメフト観戦についてもたまに

世界選手権を終えて

こんにちはJUOです

 

先日GKとして出場したロービジョンフットサル(弱視向けフットサル)世界選手権について忘れないうちに書こうと思います。是非一読をお願いします。

 

 

ロービジョンフットサルとは

 

まず初めに、知らない人のためにロービジョンフットサルについて簡単に説明したいと思います。ロービジョンフットサルとはその名通り、ロービジョン(弱視)のプレイヤーがプレーするフットサルであります。(GKは健常者もプレー可能)
ルールは同じ視覚障がい者フットボールであるブラインドサッカーとは違い、目隠し無しボールは音が鳴らないという点にあります。要は見えずらい選手が、持てる視力を使い、互いに死角を補い合うという競技です。その他ルールもほとんど通常のフットサルとは変わりません。
さらに詳しく知りたい方は以下の記事にてロービジョンフットサルについて、過去にまとめたのでご覧ください。

note.com

 

 

大会概要

 

ロービジョンフットサルの世界大会は二年に一度、主催はIBSA(国際ブラインドスポーツ協会)となります。今回はトルコをホスト国に、12月4日~15日の10日に渡りアンタルヤにて大会が行われました。
参加国はトルコ、ウクライナ、ロシア、イングランド、イタリア、スペイン、日本の7か国、以下スケジュールになります。

 

大会スケジュール

12月4日 公式到着日

   5日 クラス分け、公式練習

   6日 公式練習

7~13日 総当たりリーグ戦

  14日 順位決定戦、閉会式、クロージングセレモニー

  15日 出発日

 

という感じです。中でもこの競技を象徴するのは2日目に行われたクラス分け(クラシフィケーション)ではないでしょうか。視覚障がいにもクラスがあり、ロービジョンフットサルはB2又はB3クラスが対象のスポーツです。(詳細は以上の記事参照)
公平を期すために、大会前は必ず視力検査が行われます。

 

ほぼ連戦ということで日程には苦しみましたが、その他の点(素晴らしいアリーナ、FIFA国際大会での経験もある審判、宿泊施設や提供される食事やサポート等)では非常によくオーガナイズされた大会であったと思います。

 

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大会結果

 

日本代表は合計6試合を戦いました以下結果です。(日程順)

 

vs トルコ  3-5●

vs ロシア  1-3●

vs イタリア  3-4●

vs イングランド 2-6●

vs スペイン 1-5●

vs ウクライナ 0-6●

 

ベスト4を目指し挑んだ今大会でしたが、結果的には全敗でした。今年5月のスペイン遠征でかなり近づいたと思った世界との距離も遠く感じる結果となりました。

 

個人的には後半からすべての試合に出場するも立ち上がりに失点することが多く、課題が多く出た大会でもありました。

 

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世界との差

 

とにかく世界との差を感じた今大会。その差は大きく2つかなと思います。

一つ目は個のスキル

これは見え加減にもよるので一概に言えないのですが、これは圧倒的に世界が上です。フィジカル、技術、メンタル、すべてにおいて差は顕著でした。
B2/B3クラスは認知が重要なフットボールにおいてはプレーがかなり難しくなるレベルですが、ダイレクトプレーや浮き球のボール処理を海外選手は難なく行えてしまうのです。かなりの差ですが、これをスタンダードに各個人が向上に努めていく必要があると感じました。GKも決して例外ではなく、技術はもちろん試合の中で止めるべき時に止めるということに関しては世界の選手は一段上かなと感じました。

 

二つ目はロービジョンフットサルという競技自体の成熟度

技術に関しては各個人が努力するという点に尽きますが、それと比べてこのことに関しては正直果てしない差を感じました。そして自分たちだけではもはやどうにもできない問題なのかとさえ思ってしまっています。
はっきり言ってしまうと、競技人口が足りない、クラブチームは超少ない、といった普及の問題なのですが、単純なロービジョンフットサルの普及だけではなく、そもそも障がいを持つ人々がスポーツをする環境が多くない、というか健常者もスポーツに触れる機会も少ないという日本のスポーツ普及の現状にまでさかのぼらなければいけない問題であるからです。

数字を観れば一目瞭然ですが、日本のロービジョンフットサルクラブ数は現在たったの3チームです。※2019年12月現在

これがFAの管轄内にあるイングランドのロービジョンフットサルは10チームでリーグ運営も非常に組織されています。スペインサッカー協会の管轄にあるスペインのロービジョンフットサルは実に20チームで二部構成のリーグ。
その他の国々も非常に組織された国内リーグを持っていて健全な競争が日々行われています。

つまりロービジョンフットサルというスポーツ、ひいてはフットボールというものが誰にでも開かれたものであることから、絶えず競技者が生まれ、その中でタレントが常に出てくる仕組みを持っているのです。

この差をどう埋めていくべきか、本当に難題だなと思っています。日本のロービジョン発展は本当に長く時間のかかる作業で、社会のスポーツへの認識というものも追いついてこなければいけない問題なのだなと感じています。


 

大会を終えて

 

繋ぐ」ということが今大会のテーマでしたが、本当にこの火は消してはいけないんだと実感しました。だからこそとにかく目に見える結果が欲しかった大会でもありました。とても悔しいです。負けたことが、自身の技量が足りなかったことが。
その思いを胸に来年すぐに再開するドイツでのリーグ戦に思いをぶつけ、向上していきたいと思います。
そして来年僕は帰国しロービジョンフットサルクラブを立ち上げます。ロービジョンフットサルという競技を発展させるためです。何年かかるかわからない程果てしない道のりですが少しずつ「未来に繋ぐ」そんな活動ができたらと考えています。

最後に、本大会は皆様から頂いた寄付金のおかげで出場が叶いました。今回寄付活動にご協力いただいた方々、日頃からロービジョンフットサルに関わって下さる方々本当にありがとうございます。今回、結果という形でお礼ができなかったこと、非常に申し訳なく思います。この悔しさをバネに今後の活動により一層邁進して参りたいと思いますので今後とも応援の程宜しくお願い致します。

 

加渡主悟

 

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